動かないコンピュータ(2)

2001年5月23日

 前回に続き、10カ条の内容に解説を加えてみます。これらは導入する企業が主に考えておかなければならないことです。

 「動かないコンピュータ」撲滅のための10カ条

一、自社のシステム構築に関する力を見極め、無理のない計画を立てる

 ⇒導入する企業の管理レベルは重要です。現実の管理が出来ていない企業に対し高度なシステムを納入しても、使いこなせない状況が発生します。在庫管理など高度でなくても、物の管理が出来ていないと、そのシステムは使い物になりません。

一、複数のインテグレータを比較し、最も自社の業務に精通している業者を選ぶ

 ⇒納入業者が業務をいかに理解しているか、担当のSEがいかに理解しているかを見極める必要があります。SEが初めて手がける内容であれば、それに近いレベルのシステムを構築したことがあるかを問う必要があります。

一、経営トップが先頭に立ってシステム導入の指揮をとり、全社の理解を得ながら社員をプロジェクトに巻き込む

 ⇒関係する人のすべてを巻き込むためには経営トップの号令が必要です。システム構築に直接加わる必要はありませんが、トップのやる気が見えないとうまく行きません。

一、要件定義や設計など上流工程に時間をかけ、要件が確定後はみだりに変更しない。インテグレータとのやり取りは文書で確認し合う

 ⇒最近では雛型を見せながら開発を進める手法も出てきていますが、規模が大きくなればなるほど、基本的な開発手法を守る必要があります。百を超えるプログラム本数が必要なシステムで、基本構造を見極めないで構築を進めると、納期遅れ、運用開始時の問題は間違いなく起こります。

一、開発の進み具合を自社で把握できる力を身に付ける

 ⇒ユーザー側の担当者の力量として、システム構築の方法・段階を知っておく必要があります。プログラムはどこまで出来ているか、そのテストはどこまで進んでいるか、などの状況を定期的に確認する必要があります。

一、検収とテストに時間をかけ、安易に検収しない

 ⇒基本となるデータが出来ているか、基本となる帳票が出ているかなど、大きな流れがうまく動くかを見極める必要があります。基本が出来ていれば、細かな修正はどのようにでも可能です。

一、インテグレータとやり取りする社内の責任者を明確に決める

 ⇒ユーザー側のトップよりも重要な人物になります。コンピュータのことは詳しくなくても、社内の業務に精通し、社内で信頼される人でなければなりません。当然、インテグレータとの交渉も出来る人物でないといけません。現状聞き取り、設計打ち合わせ、マスタデータ作成、運用開始時の混乱収拾になくてはならない人です。この選択を間違えると失敗します。

一、システムが稼動するまであきらめず、あらゆる手段を講じる

 ⇒システム導入時の決意として、作る側も使う側も、絶対に動かすという信念が必要です。出来ないかも知れない、本番を伸ばそうか、そんな気持ちになると、そのシステムは完成も利用開始もおぼつかなくなります。動き始めたら、早い時期に、徹底したチェックが必要です。

一、インテグレータと有償のアフター・サービス契約を結び、保守体制を整える

 ⇒最近のパソコンはよく壊れますし、ソフトはよく固まり(噛み付き)ます。そこへ設計のミス、プログラムのバグ(不良)、運用のミスが重なり、わけのわからない状況がよく発生します。よくわかった人をつかまえておく必要があります。

一、インテグレータを下請け扱いしたり、開発費をむやみに値切ったりしない

 ⇒システム構築は人がやります。機械が自動で作るものではありません。人件費の塊であり、アイデアの塊みたいなものです。価格の安さのみが交渉の対象では、いいシステムは出来ません。