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★導入失敗例-その1-

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ある食品製造業のパソコン。

1998年9月7日

このお客様は、鹿児島県内で、食品を製造してスーパーなどに日々納入する仕事をしておられます。
知り合いの紹介で行って見ると、NECのキャンビーというパソコンと、ドットプリンタの一式がほこりをかぶっていました。キャンビーにはワープロの「一太郎」、表計算の「ロータス123」、住所録の「筆まめ」などがインストール済みです。業務用ソフトは、販売管理が一式、給与計算が一式インストールしてありました。納入したのは宮崎県の業者で、知人の紹介だそうです。

このパソコンの使い方が分からないから教えてくれと言う訳です。

納入先に聞けない理由は、喧嘩状態になってしまって、頼めない状態との事です。
内容を見ると、マスタデータは登録済みで、業者の訪問回数が少なく、使い方を理解するまで行かなかったケースのようです。納入金額は、機械とソフト込みで80万位だったそうです。


対応。

このお客様に対して、納入された業務ソフトを使えるようにすることはたやすいことですが、実際には使えるようには出来ませんでした。いや、しなかったというのが本音です。

販売管理も給与計算も、市販パッケージではありませんでした。販売管理ソフトには、ユーザー固有の帳票が入っていて、納入業者が独自に作ったパッケージに、プログラムが追加されている状態です。
使うことは出来ても、後でプログラムやデータに問題が発生した場合、我々には手が出せないことになります。今後、数年間使える保証が出来ない訳です。これは、納入した業者が来ない限り、どの業者が行っても同じ状況ではないでしょうか。

結局、業務が使えないならということで、メモリーとレザープリンタを追加してもらい、ワープロ・表計算・住所録を使えるようにしました。

ソフトは死んでしまいましたが、機械だけは生き残ったという訳です。


失敗の第一の原因は、導入金額です。

けちけちざっと考えても、安すぎるような気がします。

金額の内容を想像すると、機械代金が35万で、ソフト費・導入指導料が45万、合計で80万と言うことになります。ソフト費の内訳を見ると、販売管理・給与計算のソフト代がそれぞれ15万で、合計30万になります。それ以外に、機械の納入費、ソフトのインストール費、導入指導料などが掛かりますが、差し引き15万しか残りません。

これは、業務用パッケージが多くなってきた最近の売り方の典型例です。機械代+ソフト購入費+導入指導料というパターンで、導入指導料が一業務に付き、納入後数回の訪問で30万というのが相場ではないでしょうか。その後に付いては、1回いくらというように、指導の回数に応じて金額を決め、訪問することになります。

機械代とソフト購入費を差し引いて、15万では、訪問しての導入指導が十分に出来ないような気がします。宮崎から片道2時間もかけて、何回訪問できるでしょうか。
それにユーザー固有のプログラム追加の費用を考えると、納入業者の手取りは非常に少ないものです。

パソコンやオフコンを使った事がない場合に、十分に使えるようになるには、業務にもソフトにも精通したSEの指導が必要です。販売管理では、日次処理で5・6回、請求処理で2回、月次処理で1回、年次処理で1回の、合計10回くらいの訪問が必要になります。給与計算では、月例給与で1・2回、賞与で1回、年末調整で1回の、合計4回くらいは訪問しなければなりません。

十数回の訪問が必要なのにその費用が少なすぎます。訪問指導に対する、ユーザーと納入業者の間の食い違いがあったのではないでしょうか。

買う方はきっちり指導してもらえると思っても、納入する方には指導の限度があるものです。


失敗のもう一つの原因は、業務を欲張りすぎたことです。

このお客様がコンピュータの事もほとんど分からない状態にもかかわらず、二つの業務を同時に始めようとした事がではないでしょうか。

オフコンの時代は、ほとんどが手作りのソフトを納入していて、契約から納入まで相当に時間が掛かりました。そのため、複数の業務ソフトを同時に入れることは、あまりしませんでした。特に、コンピュータを始めて導入する会社では、先ず慣れることを重視しました。
そういう時に、最初に入れるのが給与計算です。給与計算は、給与支払の仕組みを知っていれば、そんなに難しいソフトではありません。先ず、給与マスタという固定項目を登録することで、キーボードに慣れたり、コンピュータ処理の癖に慣れたり出来ます。最初の計算処理をさせる頃には大体慣れて、入力や印刷が一通り出来るようになります。
その後に販売管理ソフトなど、毎日処理しなければならないメイン業務に入り、業務を一つ一つマスタするようにしていきます。


オフコンの時代より、機械の値段は安くなり、ソフトも安くなり、納期も早くなりました。
しかし、安いからといって、速いからといって、全く初めての人に、使い方がやさしくなった訳ではありません。

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